オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

高まる水産品の需要にどう応えていくか。オイシックス・ラ・大地と『豊洲漁商産直市場』の商品開発の挑戦

高まる水産品の需要にどう応えていくか。オイシックス・ラ・大地と『豊洲漁商産直市場』の商品開発の挑戦

現在、健康志向の高まりもあり、魚介類をはじめとした水産品カテゴリーの食品を求めるお客様が増えています。

そのなか、オイシックス・ラ・大地の水産品の品揃えの充実を支える大きな存在があります。2021年3月よりオイシックス・ラ・大地の子会社に加わった、株式会社豊洲漁商産直市場です。

例えば、高級魚「のどぐろ」丸ごと1尾と、炊き込みご飯のタレをセットでお送りする『丸ごと!のどぐろの炊き込みご飯のもと。2021年4月にOisixで販売開始となったこちらの商品は、豊洲漁商産直市場と共同開発したもので、旬の高級魚を家庭で味わえる新鮮さもあり、お客様より大変好評をいただいています。

(▲)「魚を調理すると包丁やまな板、ゴミ箱が臭くなる」という課題を解決するため、鱗も内臓もエラも処理されたのどぐろ丸ごと1尾を炊飯器にセットするだけの手軽さを実現
(▲)「骨があると子どもの食が進まない」と魚に苦手意識がある方のために「のどぐろのほぐし方」説明書や動画による調理過程を紹介
(▲)ほっくほくののどぐろと甘いたれの炊き込みご飯が完成します

今後、オイシックス・ラ・大地と豊洲漁商産直市場の両社は、家庭の食卓で水産品を手軽に取り入れていただくための取り組みを一層強化していきます。

今回、豊洲漁商産直市場・代表の長野 泰昌さんと、水産品カテゴリーの商品企画を担当する『Oisix』の森合郁恵さんと『大地を守る会』での上田竜臣さんに、現状の取り組みや今後の展望を聞いてみました。

仕入れ先は仲間であり、家族のような存在

ーー はじめに、豊洲漁商産直市場について話を聞かせてください。全国から水産品を仕入れていますが、その最大の特徴は何でしょうか?

長野さん:
僕らの強みは、なんといっても地方との繋がりです。

日本全国の様々な漁港や市場に足繁く通い、そこで働く漁師や漁業関係者の人たちと関係を築いてきました。時には、寒い冬の漁に毎日同行もしました。はたから見れば、ものすごく非効率的な活動かもしれませんが、そういう愚直な活動こそが相手から信頼を得るために一番大切だと信じてやってきました。

僕らがこれまで行ってきたことは、全国の漁師・漁協・市場から生産者の顔が見える確かな商品を適切な価格で仕入れ、それを求める企業に卸すことです。それによって、お客様や、漁師や漁業関係者の人たちに最大限貢献していきたいと考えています。そのため、地元でしか流通しない珍しい魚介類なども積極的に取り扱い、様々な可能性を模索しています。

豊洲漁商産直市場にとって仕入れ先の漁業者は仲間であり、家族のような存在です。今では、その日に獲れた一番いい魚を 「トヨイチ用」 として取っておいてもらえるようになりました。僕らは、日本一新鮮な地魚を扱う会社だと自負しています。

長野 泰昌さん。
株式会社 豊洲漁商産直市場(元株式会社セブンワーク) 代表取締役。「塚田農場」「四十八漁場」を運営するエー・ピーカンパニー傘下の子会社で魚バイヤーとして活躍。2021年にオイシックス・ラ・大地との連結子会社化を機に、家庭でおいしい魚を手軽に食べられる商品提案を行う。バンドマン、旅行代理店、ライターなど、異色の経歴を持つ。

長野さん:
もともと僕らは、『塚田農場』や『四十八漁場』などの居酒屋チェーンを展開するエー・ピーホールディングス傘下の会社でした。

全国各地の漁場から直接仕入れることにより、中間流通を通さず鮮度の高い状態で水産品を提供できる独自の流通網を強みに、エー・ピーホールディングスの飲食店をはじめとした外食産業への卸販売を行ってきました。

2021年2月にエー・ピーホールディングスとオイシックス・ラ・大地は資本業務提携を結ぶと同時に、僕らの株式の51%をオイシックス・ラ・大地が取得し、残りの49%はエー・ピーホールディングスが引き続き所有しています。そのため、現在は外食産業への卸販売と並行しながら、オイシックス・ラ・大地と組んで様々な取り組みをしています。

これまでは飲食店を通じて全国各地の水産品の魅力を届けてきましたが、オイシックス・ラ・大地と組むことで、各ご家庭の食卓にその魅力を直接届けるチャンスを得ることができました。水産品の魅力をひとりでも多くの方々に届けていきたい僕らとしては、オイシックス・ラ・大地との取り組みには、大きなやりがいと可能性を感じています。

オイシックス・ラ・大地の水産品へのこだわり

ーー 豊洲漁商産直市場と組むことで、水産品の品揃えの一層の充実が期待できますが、『大地を守る会』『Oisix』における水産品カテゴリーの現状を教えてください。

上田さん:
オイシックス・ラ・大地の食品宅配サービスのなかで、売上構成比率に占める水産品の割合が一番高いのは『大地を守る会』です。お客様の年齢層が高く、「健康のために魚を食べたい」と肉より魚を好む方が多くいらっしゃいます。

上田竜臣さん。
オイシックス・ラ・大地株式会社 大地を守る会商品本部 商品部 部長 兼 加工食品セクション マネージャー。環境問題や食への関心から大学在学中に廃油リサイクル企業と農業専門求人サイト運営企業でインターンを経験した後、2011年に新卒で『大地を守る会(当時)』に入社。青果物流業務、青果卸営業担当、青果仕入業務、と青果畑を経験した後に、2018年に加工食品や水産品を管轄する加工食品セクションのマネージャーに着任。2020年には非食品の雑貨品なども含めた商品部長に着任。

上田さん:
また、外出自粛の影響で、栄養バランスのいい食事を心がけることへの意識が高まるなかで、栄養が豊富な水産品の価値は再評価されています。今後も健康志向が高まる傾向が見えるなかで、水産品カテゴリーの商品の充実は欠かせないと感じています。

一方で、水産品の難しいところは、同じ魚でも獲った場所や時期や魚体サイズなどにより、品質が全く変わることです。また、加工方法や冷凍方法などでも味や鮮度が変わるため、扱いも難しい。

そのため、『大地を守る会』では水産品を長年担当しているベテランバイヤーが中心となり、生産者の方と一緒に試行錯誤を続けながら、とにかく品質にこだわり、おいしく召し上がっていただけるものを届けるようにしています。

森合さん:
『Oisix』でも、栄養のあるものを家族に食べさせたいという想いから、毎日の食卓に魚料理をうまく取り入れたいという声をお客様から多くいただきます。

ただ、魚は調理が大変ですし、包丁やまな板に臭いが残るといった点から、調理しづらいという声もあります。そのため、「いかに手間なく簡単にお魚料理を楽しんでいただけるか?」を『Oisix』では意識しています。

森合郁恵さん。
Oisix商品本部 加工食品部。2017年にオイシックス株式会社(当時)入社。Oisix EC事業の業務効率化を専門的に担うチーム配属。その後、異動制度を利用し2020年に商品開発を行う商品本部へ。主にOisixブランドの加工食品(スイーツ、飲料、惣菜など)の商品開発に携わる。

森合さん:
例えば、豊洲漁商産直市場と共同開発した『丸ごと!のどぐろの炊き込みご飯のもと』では、鱗も内臓もエラも処理された「のどぐろ」をタレと一緒にお送りしました。そのまま炊飯器に入れていただければ、簡単に炊き込みご飯ができあがります。また、骨があるとお子様の食が進まないという方のために「のどぐろのほぐし方」もあわせて紹介しました。

(▲)「のどぐろのほぐし方」説明書

やはり、魚料理は調理をするのが大変というイメージがあると思うので、その悩みをどう払拭していくかが大切だと思います。

旬な魚が持つ価値はそのままに、手間なく料理していただける工夫を加えることで、Oisixらしい「プレミアム時短」の付加価値のある商品を充実させていきたいです。

豊洲漁商産直市場と組むことで念願が叶った!

ーー 既に、「のどぐろの炊き込みご飯」のように豊洲漁商産直市場と組んで企画した商品が幾つかありますよね。簡単に紹介いただけますか?

上田さん:
豊洲漁商産直市場さんと組んで『大地を守る会』が企画した商品のひとつは、今年のゴールデンウィークの前に発売した「富山県の名産品・白エビ」です。外出自粛のなか、連休のお楽しみとしてご自宅でおいしいものを味わってもらおうと企画したものですが、お客様から大変好評をいただきました。

上田さん:
以前から白エビを扱いたかったのですが、『大地を守る会』では「鮮度保持や退色防止のための薬剤の使用禁止」など取り扱い基準を厳しく設けていることもあり、基準をクリアできる白えびを見つけることができない状態が続いていました。

それが、豊洲漁商産直市場さんに相談したことで念願が叶い、購入されたお客様からも好評のお声を多数いただけました。「こんな水産品を扱いたい」と相談すると、なんでも引っ張ってきてくれて、そのネットワークの広さに驚かされます。

現在、『大地を守る会』では、秋から冬にかけて日本各地のおいしい旬の水産品が毎月届く頒布会企画を計画中で、そこでも豊洲漁商産直市場さんに全面的に関わってもらっています。地域の珍しい魚やおもしろい食べ方も知っていて、全国各地の漁港や市場に実際に足を運んでいるからこそできる提案を沢山いただいています。とてもいい企画になりそうです。

森合さん:
豊洲漁商産直市場と組んで企画した商品といえば、生のしらすを全国の方にお届けしたいという想いから、『Oisix』『大地を守る会』の両方で販売した「泉州生しらすの特製生しらす丼」があります。

森合さん:
しらすは水揚げ後すぐに船上で氷締めし、港に着き次第、上質な品質の生しらすを漁師が選別し、塩分と温度を調整したシャーベット状の氷で一時保管されます。そこから洗浄されたしらすは、真空パックされた後、-30℃以下の液体アルコールで急速冷凍されます。徹底的に鮮度保持にこだわっているので、解凍しても、ぷりぷりの状態で味わっていただけます。

水産品は凍結 ・ 解凍を繰り返さないことでフレッシュな状態を保てます。 その点、豊洲漁商産直市場さんは仲介が少ないため、旬のものを鮮度を保ったままでお客様に届けられるのは本当に大きな強みだと感じます。

お客様の声に実直に向き合い、価値をつくりたい

ーー 長野さんから見て、オイシックス・ラ・大地はどのように映っていますか?

長野さん:
オイシックス・ラ・大地は、生産者と消費者を繋ぎ、つくる人が誇りを持ち、報われる仕組みをつくろうと挑戦してきた会社ですよね。それを、インターネットを活用しながら、ビジネスとして確立させたことは、本当にすごいと思っています。

長野さん:
そして、これまでもそうであったと思いますが、生産者の方々がどんなにご苦労をされていたとしても、ビジネスとして確立させるにはお客様のニーズに応えることが大切です。

その点、サービス改善においても、商品づくりにおいても、オイシックス・ラ・大地はお客様の声に実直に向き合っている会社だと感じます。お客様からの嬉しい声も厳しい声もしっかりと受け止めて、生産者さんとも共有して、ニーズに応えられる状況を目指していますよね。

僕らは漁業の生産者の方々と向き合う事に多くの時間を費やしてきましたが、獲れるものの価値を最終的に決めるのは、消費者であるお客様です。

オイシックス・ラ・大地は生産者の方々ともお客様とも直接繋がっているので、お買い上げいただいたお客様の声を伝えてくれます。その声を受け止めながら、価値ある商品をつくっていかないといけないと感じています。

それと、オイシックス・ラ・大地の印象として、働いている人の笑い声がよく聞こえる会社だと感じています。食の未来をつくることに強い責任感や使命感を持っていることと同時に、食の驚きや面白さをお客様に届けることを心から楽しんでいるように感じます。そういった人たちと一緒に商品づくりができるのは、純粋にありがたいですよね。

水産品は工夫次第で、もっといいものができる!

ーー 最後に、水産品を扱う醍醐味を、それぞれ聞かせてください。

上田さん:
水産品に携わっていると驚くことの連続です。同じ魚種でも、獲れた場所や時期によって味や脂のりが全然違っていて、その違いに感動することが多々あります。その違いを知るのは純粋に面白いですし、それをお客様に伝えていくことにやりがいを感じます。

同時に、水産品はまだまだ不便が多いと感じています。肉と違って、骨を取らないと食べられないとか、下処理の手間が多いです。食べやすくしたり、その過程で生じる捨てられた部分をうまく活用して付加価値をつけた商品を開発したり、工夫の余地がすごくあります。お客様から「まさに、こう言うのを待っていた!」と言われるような商品を届けていきたいです。

森合さん:
私も上田さんと重なってしまうのですが、年中獲れる魚でも、夏と冬では味が全く違っていて、価格差に大きな開きがあることも、この仕事をして初めて知りました。知らないことがたくさんあって、それをひとつずつ知れることに面白みを感じています。

あとは、生しらすのように、産地での手の入れ方によっても、味が全く変わってきます。保存や流通の仕組みでも価値が変わってくるので、そこにも工夫の余地があるんですよね。お客様が喜んでいただける価格や価値で商品化して、驚きや新鮮さがプラスされた商品を企画していきたいです。

長野さん:
僕は、「生鮮三品」と呼ばれる魚・肉・野菜の中で、魚はとにかく暴れる商品だと思います。

おふたりが言うように、獲れた時期や場所でも変わるし、冷凍方法や流通の仕方でもそうだし、ちょっとしたひと工夫で価値が変動します。また、当然ですが、どういう風に食べるかでも価値が変わってきます。

そういう意味で、生産現場からお客様の食卓まで、様々な切り口から提案できるオイシックス・ラ・大地との仕事は、本当に可能性を感じます。

旬の魚を味わっていただくこともそうですし、珍しい魚の提案もしていきたいし、定番の魚の新たな一面も楽しんでもらいたい。全国各地の水産品を、家庭で手軽に楽しんでもらえるように、様々な挑戦をしていきたいです。

執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部

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