オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

お客様の期待を超えた価値を届けるために。オイシックス・ラ・大地流、新規事業の育て方

お客様の期待を超えた価値を届けるために。オイシックス・ラ・大地流、新規事業の育て方

2000年にはじまった食品宅配サービス『Oisix』は、現在、約28.5万人(2020年12月末時点)の会員の方々に利用されるまでに成長を遂げました。その背景には、徹底してお客様の声を聞き、ロジカルに課題を掘り下げ、お客様の期待を超える商品やサービスを生み続けてきたことがあげられます。

特に、2013年に販売を開始し、時短かつプレミアムな調理体験を提供する『Kit Oisix』は、多くのお客様に支持いただき、累計販売食数は7,000万食を突破しました(2020年12月末時点)。Kit Oisixも、お客様へのヒアリングを重ね、データをもとに改善を繰り返し、磨かれていった新規事業のひとつです。

今回、Kit Oisixの生みの親でもあり、オイシックス・ラ・大地で新規事業の開発を担う『サービス進化室』の室長・菅 美沙季さんに、新規事業開発において大切にしていることや、お客様の期待を超える新商品や新サービスが次々と生まれてくる組織にするために意識していることなどを聞いてみました。

徹底的にお客様と向き合うことからはじめる

ーー 菅さんが室長を務めるサービス進化室は、新サービスや新商品の立ち上げを担っていますが、どうやって新しい事業の芽を見つけていくのでしょうか?

菅さん:
オイシックス・ラ・大地では、お客様にしっかりと向き合うことを大切にしています。

アンケートを取ったり、インタビューさせていただいたり、社長を含めて社員自らお客様のご自宅に伺う活動もずっと続けています。徹底的にお客様の声を聞くなかで、お客様の抱える課題やニーズを把握し、事業の兆しを見つけていきます。

多くのお客様にご支持いただいている『Kit Oisix』も、定期購入をやめたり、購入頻度が下がっているお客様の「時間がなくて料理ができない」「料理スキルがなくて野菜を使いこなせない」という声がはじまりです。調べていくと、同様の悩みを抱えるお客様が一定数いることがわかり、この課題を解決すべく、Kit Oisixは生まれました。

アンケートやインタビューに加えて、お客様視点を持つための様々な取り組みも行っています。そのひとつが、子どもたちが審査員になる『コドモニター』です。キッズメニューのさらなる充実を目指して、3〜5歳のお子さまに販売予定のメニューを食べていただき、お子さまから率直な意見を伺います。

菅さん:
この『コドモニター』のように、お客様に実際に試していただき、フィードバックをいただくことで得られる気づきは大きいです。幸い、オイシックス・ラ・大地のお客様はモニターを快く引き受けてくださる方が多く、とてもありがたく思っています。私たちも、お客様の期待に応えなければと、自然と力が入ります。

このようにお客様の声を聞くことを徹底していますが、同時に、定量的なデータを見ることを大切にしています。

新商品や新サービスによって、お客様の購入頻度がどれだけ上がったのか。新規のお客様はどれだけ増えたのか。そういった数字の動きを見ることで、本当にお客様に満足いただけているものを提供できているかを客観的に検証していきます。

この姿勢は、サービス展開後も一貫して変わりません。定性・定量の両側面からのフィードバックを常に見ながら、PDCAをどんどん回していきます。どんな施策であっても全てアンケートをとりますし、継続的なヒアリングは欠かしません。

新規事業が次々と生まれる仕組みづくり

ーー サービス進化室には多くのメンバーがいますが、新規事業立ち上げの成功確率を部内で高めるために取り組まれていることはありますか?

菅さん:
新規事業の立ち上げにおいて最も避けたいのは、本来の目的を見失うことです。

解決したい課題は何なのかをしっかりと定義し、「誰に」「何を」「なぜ聞くのか」を明確にすることが大切です。そうすることで、その課題を解決する強い仮説が生まれていきます。

とはいえ、プロジェクトを進めていくなかで、特定の声に引っ張られてしまったり、頭が整理されない状態でとにかく突っ走って、目的を見失うことは起こりがちです。そういった事態に陥らないように、企画の目的・仮説・対象としているお客様・KPIなど、新規事業を考える際に考えておくべき項目をフォーマット化しています。

フォーマットを埋めることで、自分の考えを整理できるし、上長を含め、そのサービスに関わるメンバーにも目的をズレなく共有できます。数年前からフォーマット化をはじめましたが、明らかに事業が立ち上がるまでのスピード感が増しましたし、手戻りを起こすことも少なくなりました。

菅 美沙季さん。
執行役員、サービス進化室 室長。化粧品通販会社を経て、2009年6月Oisix ra daichi(当時、オイシックス)へ入社。2013年7月、必要量の食材とレシピがセットになったミールキット『Kit Oisix』を立ち上げる。2016年10月、執行役員となる

菅さん:
また、新規事業の場合は、やってみないとわからないことばかりです。そのため、スモールスタートでもいいので、まずはやってみて、その結果をもとにスピード感をもって改善していくことが重要です。

オイシックス・ラ・大地は、サブスク型ECというビジネスモデルの特性上、トライアルがやりやすい環境です。生産量が少なくても売ることができますし、前述のように、モニターに協力的なお客様も非常に多いです。

もちろん、お客様に売るものなので、オイシックス・ラ・大地の安全基準に照らし合わせ、自信を持ってお届けできる状態からはじめますが、トライアルを細かく重ねながら、多くのお客様に受け入れられる状態に整えていくことができます。

それと、現在、生産性の大規模な向上を目指す「DX(デジタルトランスフォーメーション)改革プロジェクト」が進行中です。システム基盤やアプリケーションを刷新し、会社全体のパフォーマンスを向上させるプロジェクトですが、このプロジェクトが完了すると、オペレーションの負荷を緩和し、アイデアを生み出すことにより専念できる状態になります。

ベストを尽くすな、Missionを成し遂げろ

ーー ただ、どんなに仕組みや環境が整っても、新規事業の立ち上げには困難がつきものだと思います。メンタル面において、菅さんたちが大切にしていることはありますか?

菅さん:
新規事業を立ち上げて、多くのお客様から支持される状態に育てていくことは、本当に大変なことだと思います。

Kit Oisixも、最初は全然うまくいかず、「もうやめようか」みたいな議論も何度かありました。立ち上げ当初は、ミールキットという言葉自体がまだ世の中にほぼ知られていなかったので、価値を伝えるのが難しい状況でした。

それでも、改善を粘り強く続けられたのは、「このサービスには、お客様の抱える課題を解決し、多くのお客様に喜んでいただける大きな可能性がある」と信じ抜くことができたからです。

これは私が単に粘り強い性格だったからではありません。「こういうサービスを待っていた!」という、Kit Oisixを使っていただいたお客様からの熱量のこもった声のおかげでした。同時に、一度でも使ってもらえたらファンになってくださるケースが多いこともデータで把握していたので、定量的な側面からも可能性が大きいことを感じていました。

菅さん:
やはり、お客様の声を聞くことは、マーケティング的な意味合いだけでなく、担当者の気持ちを奮い立たせる意味でも重要だと思います。お客様の「めちゃくちゃいいですね!」という声が、頑張る力の源になっていると感じます。

私たちがお客様の声を聞く機会を多く持つのも、自分たちは誰のために仕事をしているのかという意識を忘れないためでもあります。

オイシックス・ラ・大地の行動指針のひとつに「ベストを尽くすな、Missionを成し遂げろ」とありますが、実際に課題を抱えているお客様とお会いすると、「どうにかして課題を解決したい」と気持ちが引き締まります。

仕事だからやるとか、会社から与えられた課題だからやるとかではなく、「自分が本当にその課題を解決したくてやる」「お客様の期待を超える感動をお届けする」という強い意識を持たないと、新規事業は成功しません。お客様の声を聞くこともそうですが、メンバーの使命感や当事者意識が芽生える制度や風土をどう築いていくのかも、会社として取り組んでいくべきことのひとつです。

個人の「やりたい」を尊重する会社であるために

ーー 現在、サービス進化室をはじめ、オイシックス・ラ・大地では新規事業への挑戦に意欲を持つ人の採用を積極的に行っています。ただ、会社の規模が大きくなってきた影響からか、個人の裁量が小さいのではないかと心配されることが少なくありません。こういった懸念に対して、執行役員でもある菅さんからメッセージをもらえますか?

菅さん:
私も、面接をしていると、応募者の方から同じような質問をいただくことがあります。でも、私は2009年に入社していますが、今も昔も、一人ひとりのベンチャーマインドを尊重する姿勢は全く変わっていないと感じています。

それを支えているのが、お客様視点やロジカルを重視するカルチャーだと思います。

お客様の声をもとに明確な根拠があれば、年次や役職に関係なく、その意見は尊重されるべきものとして扱われます。ロジカルシンキング講座を入社したメンバー全員に受講してもらうのも、このカルチャーを大切に育てていくためです。

むしろ長く在籍していると発想が凝り固まってしまいがちなので、フラットな目線でお客様と接しているメンバーの意見を尊重するようにしています。入社して間もないからとか、経験が浅いからとかは気にせずに、積極的に自分の考えを提言してもらえたらと思います。

菅さん:
また、サービス進化室をはじめ、社内では様々なチームが新しい取り組みをしていますが、チーム人数は2〜3人くらいがほとんどです。そのメンバーで、企画からオペレーション設計に至るまで、何でも泥臭くやらないといけません。

ここ最近の社内の動きを見ていても、それぞれのチームが、自分たちで考えて、自分たちで行動し、サービスを進化させてくれているので、頼もしさを感じています。Oisixで急成長中のサービス『ちゃんとOisix』も、メンバーの強い思いからはじまったサービスです。

人数が少ないと大変ではありますが、意思決定のスピードは圧倒的に早くなりますし、様々な経験をすることで多くのものを学べます。何より、「自分たちのサービス」として、当事者意識を高めることができます。オーナーシップをもって、何でもやってみたいという人には、存分に楽しめる環境だと思います。

泥臭い努力の先にある、喜びを目指して

ーー 最後に、オイシックス・ラ・大地で新規事業の立ち上げに関心がある採用希望者の方に対して、メッセージをお願いできますか?

菅さん:
サービスの立ち上げは大変ですが、オイシックス・ラ・大地ではお客様の声に触れる機会が多く、喜びをダイレクトに感じることができます。

2018年には、『Kit Oisixへのラブレター』という投稿フォームをWebサイト上に設けたのですが、「子どもと一緒に料理を楽しめた」「夫と仲直りできた」といったメッセージが寄せられ、私も涙なしには読むことができませんでした。

新規事業と聞くと華やかなイメージを持たれるかもしれませんが、実際には泥臭い仕事もたくさんあります。それでも、人を喜ばせることが好きで、情熱を持って仕事に取り組める人であれば、きっと大きなやりがいを得られると思います。

オイシックス・ラ・大地は第二創業期を迎え、これまで以上に、様々な食卓の課題を解決するサービスや商品を生み出していこうとしています。最先端のIT技術と掛け合わせながら、サービスや商品を企画していくことも増えいくはずです。

私たちの行動指針のひとつには「前例はない、だからやる」という言葉もあります。今はまだ見えない道を切り開きながら、お客様の喜びのために、新たなサービスを生み出していきたいという人と一緒に働けることを楽しみにしています。

執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部

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