「前例はない、だからやる」
オイシックス・ラ・大地が大切にする7つの行動規範(ORDism)のひとつです。過去の経験やこれまでの当たり前に縛られることなく、自分たちのミッションを成し遂げるための最適な打ち手を考え実行する。この姿勢を、創業以来、ずっと大切にしてきました。
そして、前例主義に陥らないために、共通言語として浸透させているのが、ロジカルシンキングです。社内で議論をすると、「本当にお客さんはそう思ってるの?」と頻繁に問われます。経験ではなく、お客さまの声や論理性を重視するカルチャーだからこそ、年功序列ではなく、若手も思いっきり活躍できるのです。
そんな文化を育んでいくために、オイシックス・ラ・大地へ入社をすると、全10回となる「問題解決講座」の受講が、もれなく全員に求められます。講座には毎回宿題があり、最終課題で合格をもらわないと卒業できません。メンバーに受講の感想を聞くと、「正直、メチャクチャ大変だった…」という声を聞くことがほとんど。問題解決講座とは、一体、何をやっているのか。その概要を紹介します!(19年7月時点の内容となります)
問題解決講座の全体像
問題解決講座は10名程度のクラス単位で行います。全10回の授業から成り立ち、1回あたりの授業は90分のスクール形式です。
ペースとしては、週1で授業を受けるクラスもあれば、週2で進めるクラスもあります(受講者が選べます)。ただ、毎回の宿題があるので、週2ペースだと、かなりハードなものに…。
途中に前半の授業の理解度をチェックする「確認テスト」と、合格するまで卒業できない「最終テスト」があります。ちなみに、最終テストで不合格になる人は少なくありません。それくらいの難易度なので、最終テストは全員が真剣にのぞみます。
また、各クラスには担当の講師として、オイシックス・ラ・大地の先輩社員がひとりつきます。教えることで、習熟度の更なる向上を目指す狙いがあるからです。担当となった社員は、最初から最後まで責任を持って、そのクラスを担当します。通常業務を抱えながら、講師を兼任するので、受講生より講師役の社員のほうが大変かもしれません。
受講期間中は、授業でわからなかったことや、宿題や課題の内容について、講師役の社員に自由に相談できる「マンツーマン授業(1on1)」も設けています。
全10回の授業とは?
次に、問題解決講座の中身を紹介します。この講座で目指すゴールは、名前の通り、一人ひとりの問題解決力の向上です。
日々の業務において発生する、大小さまざまな課題に対して、何が解くべき問題かを特定し、その問題を適切に解決できるようになることを目指します。
問題解決を医者で例えると、患者に処方箋を出す前に、 まずはきちんと診断して病気の根本原因を特定することが大事です。そして、その上で最も効率的(かつ効果的)な処方箋、治療方法を特定します。
つまり、解くべき問題の特定と「最適な解決策の特定。この2つのステップを踏むことが、問題解決力の向上に欠かせません。
そのため、問題解決講座では、前半に解くべき問題の特定をするためのアプローチとして、「MECE」と「ロジックツリー」。後半は、最適な解決策を特定するために「イシューツリー」を学びます。
具体的な授業の内容を、少しだけ公開
授業の具体的な内容について、少しだけ公開します。紹介するのは、前半の授業で基礎として身につける、「MECE」と「ロジックツリー」についてです。
授業では、そもそも「MECE」とは何かから教えていきます。MECEとは、全体を漏れなくダブりなく分解すること。まず、ある課題をMECEな切り口で分解するステップを学びます。
そして、次にMECEな切り口の基本パターンを学びます。
また、MECEを実戦で使えるように、授業では、こんな課題を解きます。
「新たに『お弁当』(お弁当の材料やおかずではなく、そのまま食べるもの)を販売することを検討しようということになり、あなたが様々な新商品の案を考える担 当となりました。10分間で、考えうるお弁当商品をMECEに整理してみてください」
「時短勤務ママ向けのミールキット商品を新たに開発することになりました。 新商品を考える上でのMECEな切り口を考えてみてください」
ロジックツリーから、解くべきイシューを見出す
次は「ロジックツリー」です。ロジックツリーとは、MECEの考え方を用いて、論理的に課題を分解し、ツリー状に階層ごとに整理・組立てたもののことです。
そして、分解された課題の中から、解くべきイシュー(課題)を特定していし、さらに分解を重ねていきます。その繰り返しで、解くべきイシューの「解像度」を高めていくアプローチです。
まずは、ロジックツリーを用いた問題解決のステップを学びます。
そして、実戦で使えるように、こんな課題を授業で解きます。
課題の内容は、ご覧の通り、実際の業務での使用を想定したものばかりです。
これは、講座の目的自体が、ロジカルシンキングを理解しているだけでなく、実際に業務で使うことができる状態を目指しているからです。
ロジカルシンキングを、「自分の視野を広げて、思考を深めるツール」だけでなく、「相手にわかりやすく、伝えるためのツール」と捉え、社内共通言語にするべく、問題解決講座は組まれています。
ロジカルだけでは、オモシロいものはつくれない
オイシックス・ラ・大地では、問題解決講座にとどまらず、日々の業務においても、常にファクトベースで話し、構造化してイシューを明確化するロジカルシンキングが求められます。
ですが、重視しているのは「ロジック」だけではありません。ファクトベースでロジカルに導き出した課題(イシュー)への打ち手を考える際は、一転して、前例のない「面白さ」も必要です。
教科書通りの施策ばかり打っていると、打ち手がコモディティ化してしまいます。だからこそ、アイデアを考える際は、クリエイティブに振り切って、思いっきり考えることが是とされています。行動規範(ORDism)のひとつである「お客さまを裏切れ」に、その姿勢が表れています。
左脳を使ったロジカルシンキングと、右脳を使った自由な発想。
両者を高いレベルで発揮することを目指すのが、オイシックス・ラ・大地式の問題解決力です。この問題解決力をより磨き、食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決することを、これからも目指していきます。