オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

全国4,000戸以上の生産者と契約するオイシックス・ラ・大地。自然の豊かさを守るために何ができるか

全国4,000戸以上の生産者と契約するオイシックス・ラ・大地。自然の豊かさを守るために何ができるか

持続可能な開発目標として定められた『SDGs』。そのなかに「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」という目標が掲げられています。今、気候変動や天候不順により、陸と海の豊かさが危機的状況にあることをご存知でしょうか?

度重なる天候不順によって栽培状況の見通しは立ちづらく、農業を営む環境は年々難しくなっています。また、漁業においては、サンマやスルメイカの記録的な不漁が大きく報道されていますが、漁獲量減少の深刻さが深まっています。

全国4000戸以上の生産者と契約し「これからの食卓、これからの畑」の実現を目指すオイシックス・ラ・大地にとって、これら食の現場で起きている問題は避けては通れません。特に、生産者に最も近い距離で働いているバイヤー(仕入れ担当)のメンバーは、強烈な危機感を募らせています。

今回、『大地を守る会』で農業分野のバイヤーをしている大熊俊之さんと、『らでぃっしゅぼーや』で漁業分野のバイヤーをしている源河直也さんに、生産現場の現状とオイシックス・ラ・大地で行なっている自然の豊かさを守るための活動について話を聞きました。

栽培状況の見通しが年々難しくなっている

──  現在、農業も漁業も大変な状況と聞いているのですが、おふたりはどのように感じていますか?

源河さん:
いや、めちゃくちゃ危機的状況ですよ……。僕が担当する漁業でいうと、ニュースで報道されるように、漁獲量が年々減っています。

職業柄、日本各地の様々な漁港や市場を訪問しますが、どこに行っても10年や20年前は今より2〜3倍の漁獲量はあったと言われます。今は獲れる魚の量も減ったし、魚の種類も減ってしまった。販売を予定していたものが急に取扱えなくなったりと、生産状況の見込みが立てづらい状況です。

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(右)大熊俊之さん。大地を守る会に新卒入社し11年目。現在は大地を守る会商品本部生産部にて農産セクションのマネージャーを務める。

(左)源河直也さん。らでぃっしゅぼーやに新卒入社し7年目。現在はらでぃっしゅぼーやの商品本部・加工食品セクションにて水産部門のバイヤーを務める。

大熊さん:
農業も同じです。どんどん生産状況の見込みが難しくなってきています。

オイシックス・ラ・大地で取り扱っている野菜は安全・安心を大切に、有機栽培や農薬をできるだけ控えた野菜ばかりじゃないですか。特に、大地を守る会では農薬を極力使わずに生産することにこだわっています。

でも、こういった栽培は自然の力に頼る部分が大きいので、天候不順の影響をモロに受けやすいんですよ。災害によって作物が荒らされてしまうこともあれば、例年と天候が違くて思うように栽培が進まないとか。

また、数十年前と比べて、畑に現れる虫の種類も変わってきたという話も聞きます。虫を作物に近づけさせないためにネットを張ったりするんですけど、以前は9ミリの穴でもよかったけど、今は5ミリ、3ミリとより小さな穴にしていかないと対策ができないと聞きました。

気候変動により天候不順が頻発し、生産状況の予測が立ちづらくなっている中で、技術とアイデアでどうやって乗り越えていくか。生産者の方々にとっても、我々にとっても、最大の課題になっています。

横の「つながり」をつくり、お互い学びあう

──  漁業も農業も大きな課題がありますが、この壁を乗り越えていくために、具体的にどういった活動をされているんでしょうか?

源河さん:
漁業の場合、漁獲量が下がってきている要因としてよく語られるのが「乱獲」の問題なんです。

稚魚を放流したり、海の資源を増やすための取り組みをしている地域もあるのですが、それ以上に獲りすぎていて、先細りしてしまっている。でも、漁師さんとしては目の前の生活があるので、なかなか負のスパイラルから抜け出せない。

でも、世界的に見たら持続可能性な水産業を営むために、制度が設計されていて、漁獲量が年々上がっている国や地域は沢山あります。日本でも一部の地域では漁獲量が上がっているところもあるんです。

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源河さん:
魚介類は海の中にある有限な資源なんですよ。漁獲量を適正に守っていれば、適正な量で増えていくはずなんです。だから、僕らとしては、そういう資源量が増えている地域からしっかりと学ぶ必要があると思うんですね。

そのため、オイシックス・ラ・大地では、契約している生産者同士の「横のつながり」をつくり、お互いから学び合う取り組みを行なっています。

最近だと、漁獲量が年々増えているオホーツク海のホタテを扱う漁協に、水産はもちろん、水産以外の商品を扱う取引先様たちと一緒に視察に行きました。各々扱っているジャンルはバラバラです。鰹節のような加工品を扱っている方も参加されました。そして、実際の産地を見ながら、「資源を守る大切さ」や自分たちが「今後すべきこと」について議論をしました。

こういう活動の積み重ねの中から、一つ二つと新しい成功事例が生まれてくるのではないかと思います。

競合ではなく「仲間」としてお互い接する

──  生産者同士でつながってお互いに学びあう取り組みは、農業でも行われているのでしょうか?

大熊さん:
農業でも全く同じですね。環境が厳しくなっていくなかで、常に技術やアイデアを学ぼうとする生産者の方々の意識は非常に高いです。そのため、先進的な取り組みをされている農家さんの施策を共有する場を設けています。

そもそも農家さんは昔から勉強熱心でした。やっぱり、いい野菜を作ろうとすると、様々な知識が必要になりますし、技術を磨く必要があります。だから、苦労して手に入れた自分の農法を他の農家さんにシェアすることに前向きになりづらい部分もあると思うんですよ。

でも、僕らが契約させていただいている農家の方々は、他の農家さんのことを「競合」という意識ではなく、「仲間」として見てくださる方ばかりです。だから、お互いの知見を共有し助け合っていく「横のつながり」を生むことができています。

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大熊さん:
これまで、こういった生産者さん同士の横のつながりは『らでぃっしゅぼーや』や『大地を守る会』といったブランド単位で行なわれていたんですが、これからはオイシックス・ラ・大地全体としてひとつのコミュニティになる予定です。

僕ら社員も、生産者の方々と一緒に学び、最先端の農業について学びを得ることができるので、この場はとても貴重な場になっています。僕ら自身が知識を持つことで、生産予測の精度が高まるのはもちろんですし、栽培状況の把握もスムーズになります。

「これからの食」をつくるパートナーとして、農家さんと同じ目線を僕たちも持つことが重要と感じます。

生産者と消費者を繋ぐ役割としての価値

──  生産者同士の横のつながりとは、全国の生産者と契約しているオイシックス・ラ・大地ならではの活動ですね。

大熊さん:
そうですね。僕らが契約している生産者の方々は、本当にいいものを育てようとしている方ばかりなので、そういった志を持っている他の生産者と話す機会があるだけでも嬉しいと、言葉をいただくことが多いです。

今後は、僕らからも消費者のニーズや食のトレンドなどを生産者の方々にフィードバックする機会を増やしていきたいです。それは、消費者とも繋がっている我々だからこそ、提供できる価値だと思いますから。

生産者側の環境も大きく変化していますが、食材を買ってくださるお客様側のライフスタイルの変化も激しいので、「今どんなものが必要とされているのか」を生産者の方々に伝えるのも僕らの大切な使命だと感じています。

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源河さん:
こういう生産者同士を繋ぐ役割をしている企業や団体は、世の中にほとんどないと思いますね。

僕らは、ある種、生産者の方々とは運命共同体で、生産者の方々からの食材の供給がなくなっていくと僕らのビジネスもしぼんでしまいます。だから、「仲間」という感覚がすごく強いんです。単なるボランティアではありません。

生産者の方々がやっている活動を直に見て、その価値を消費者であるお客様にしっかりと届けて、生産者に利益を還元していく。その中間を担う役割として、生産者の方々と一緒になって、学び合っています。

陸や海の豊かさを守ることに繋がると信じて

──  最後に、生産者と直に向き合っているバイヤーならでのやりがいを教えてもらえますか?

源河さん:
漁業は様々な課題を抱えていますが、課題が多いからこそ、やりがいが強いと思います。

例えば、東北のあるメーカーさんに話を聞くと、震災の前後で売上が10分の1程度になってしまったみたいな話を聞いたりするんです。そういう人の顔をみながら、朝まで酒を飲んでいると、「なんかとしたい」という気持ちになります。

そういう苦労を抱えている地域から仕入れたものを僕らが価値をつけて、販売が成功すると、すごく感謝されるんですよ。僕らの働き次第で、その産業や漁場の未来をつくることができる。そのやりがいが半端ないです。

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大熊さん:
生産者の方々が想いを持って育てた「おいしいもの」をお客さんに届けるのが楽しさのひとつなんですけど、お客さんの「おいしかった」という声を生産者の方に届けた時に生じる「繋がった感」に強い快感を覚えます。

今、『SDGs』をはじめ環境に対する意識が世の中で高まっています。そのなかで人間が自然を一番身近に感じられるのは食べ物だと思うんですね。

だから、有機農法で自然に近い形で栽培をしている農家さんを支えたいんです。天候不順や気候変動など大小様々な課題がありますが、目の前の課題をひとつずつ解決できる人でありたいと思っています。

僕らが行なっている活動が、陸や海の豊かさを守ることに繋がると信じて、これからも取り組んでいきます。

執筆:井手桂司 編集:ORDig編集部

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