オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

降りかかる問題は選べないが態度は選べる。オイシックス・ラ・大地流、非常時への対応。

降りかかる問題は選べないが態度は選べる。オイシックス・ラ・大地流、非常時への対応。

新型コロナウィルスの感染拡大における緊急事態宣言が、4月7日に発令されました。政府や自治体からの強い外出自粛要請により、私たちの生活も企業の経済活動も、大きな変化を余儀なくされています。

オイシックス・ラ・大地では、1日でも早い感染の終息を願うとともに、社内での感染予防強化に努めながら、お客さまや生産者さま、そして不安の広がる社会への支援活動を進めています。

例えば、生産者さまへの支援の一例として、小中高校の臨時休校を受け、給食向けの牛乳の供給先に困っている酪農家を緊急支援する牛乳支援コーナーをスピード開設。余らせることなく、無事に完売することができました。

(▲)支援させていただいた四日市酪農様からのメッセージ

この他にも、観光客減少、外出控え、店舗での物産展中止などで影響を受けている、北海道や東北のメーカーや生産者の商品を販売する特設サイトを開設するなど、生産者の方々の経済支援を積極的に行なっています。

同時に、お客さまへの支援の一例として、おうちで過ごす時間が増えている今だからこそ、楽しく豊かな食卓を実現していきたいと考え、Oisixにできることを様々なカタチでお届けしていきます。

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例えば、人気料理家ぐっち夫婦とOisixの食材を使ったオンライン料理教室を開催したり。

自宅の中でも明るい春の訪れを感じていただけるよう、桜のペーパーインテリアが作れるお花見ペーパーやモビールを、食材と一緒にお届けしました(※詳しくはコチラで)。

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加えて、臨時休校を受けて、高校生向けに生産者が参加者を募集する「農業体験」の情報を紹介するサイトを開設しました。風通しの良い畑で、普段とは違う体験を高校生に提供しました。

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また、自宅でお子さまが家庭科を学ぶ体験を通して、親子で楽しみながらアクティブ・ラーニングできるコーナーを開設しました。

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この他にも、様々な企画を実施し、現在も新たな企画の実行に向けて、各チームが動いています。

そもそも、私たちが手掛ける食品宅配サービスが美味しい食べ物を運ぶことは、「食料を届ける」というライフラインの役割的な意味だけでなく、気持ちを安定させること、”ちょっとした潤い”を届けること。そういう意味合いもあると思います。社会に不安が広がるなか、オイシックス・ラ・大地ができることを考え、少しでも貢献していきます。

実は、この非常時に「できることを、全部やる」という姿勢は、創業時から大事にしてきたもので、特に2011年の東日本大震災の経験により、この大切さを改めて知りました。

今回の記事では、東日本大震災時に新卒1年目でありながら、アメリカまで放射線物質検査機器を受け取りに行った経営企画本部の山本成信さんに当時の話を聞きながら、オイシックス・ラ・大地が大切にしている「できることを、全部やる」のルーツを見ていきたいと思います。

★取材は、2020年3月上旬に実施した内容となります。

降りかかる問題は選べないが、態度は選べる

──  今日はよろしくお願いします。山本さんは東日本大震災当時からOisixで働かれていましたが、現在の状況を見て当時を思い出しますか?

山本さん:
現在、社内では毎日のように部門横断でオンラインミーティングが開かれているんですが、震災当時のことを思い出します。

経営メンバーが中心になって、状況把握や今後に向けた緊急の対策を講じたうえで、それぞれが素早くアクションを実行していく。このトップのリーダーシップと現場のスピード感。今回の対応を見ていても、姿勢は当時と全く変わってないと感じています。

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山本成信さん
大学時代のアルバイト先の農家さんからOisixの事業を知り、大学院在籍時の2010年にインターンとして旧オイシックスで働きはじめる。現在は、オイシックス・ラ・大地にて、アメリカ発のヴィーガンミールキット「Purple Carrot」など、新しい食文化を日本に広げる活動を担当。

山本さん:
もともとオイシックス・ラ・大地は生鮮食品の販売を行なっている会社なので、天候不順で予定していた食材が配給できなくなったり、自然災害で生産者さんが被害にあわれたりと、予期せぬトラブルが次々と降ってきます。ある種、非常事態が日常化しているので、何か問題が起こった際に、素早く冷静に動けるのかもしれません。

また、社長の宏平さん(高島宏平)からは、「降りかかる問題は選べないが、態度は選べる」とよく言われます。

降りかかってきた問題に対して、不安に思ったり、くよくよ悩んでいても、時間が経つだけで、問題への解決には一歩も近づかない。むしろ何もしないまま時間が経ってしまい、時間の無駄になってしまう。そうであれば、悩むのをやめて、態度を変えて前向きな気持ちで取り組もうという意味です。

野菜のインターネット販売という誰も成功したことのない事業に挑戦して、大小様々なトラブルを経験してきた宏平さんの言葉なので、説得力がありますよね(笑)。でも、トラブルをただの「つらい経験」にするか、「充実した体験」にするかは、自分たちが選ぶ態度によって決まるというのは、その通りだと思います。

非常時だからこそ、動かなければならない

──  震災時の話を聞きたいのですが、震災直後の会社はどんな状況だったんですか?

山本さん:
当時は計画停電の影響がありましたが、社員は会社に出向いて業務にあたっていました。それは、会社から強制されてではなく、非常時の今こそ、精一杯働いて役に立つべきという社員一人ひとりの考えがあったからです。

また、宏平さんが社員を集めて、「自分たちのサービスは、世の中で困っている人を救うことができる。できることをやろう」と話してくれたことを覚えています。

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山本さん:
そして、震災後まもない3月16日に「オイシックス全力宣言」というスローガンを社内外に発表していました。

内容としては5項目あります。仕入先やパートナー企業と連携して持続可能な方法で被災地を支援する。東北地方の食品産業の復興に貢献できるよう事業成長に挑戦する。不安な気持ちを抱くことが多い今だからこそ、おいしいものを食べてもらえるように今まで以上の努力をする。こういった項目が盛り込まれています。

こうした宣言を発表した背景には、一時的な支援ではなく、長期的、持続的に被災地を支援していきたいという思いと、もうひとつは過度な自粛ムードに風穴を開けたいという思いがありました。

過度な自粛によって経済活動が停滞すれば、結局は被災地にも悪影響を及ぼすことになる。今は、経済を止めないことが大事だと。「こんな非常時に不謹慎だ」という批判があっても、それを恐れずに全力宣言をする「空気を読まない会社」があってもいいのではないかと思って宣言したと、宏平さんから聞きました。

非常時を前に「諦める」選択肢はなかった

──  山本さんも関わっていた放射線検査の取り組みについても聞かせてもらえますか?

山本さん:
震災直後の3月12日に原発事故が報じられてから、すぐに社内で緊急対策会議が開かれて、食品の放射能汚染に対するプロジェクトチームが立ち上がりました。

もともとOisixでは「作った人が安心して自分の子どもに食べさせられる食材」を届けることを大切にしていて、農薬や化学肥料、添加物などを極力使用していない食品を担当者が責任を持って確認しています。

そのポリシーは放射能問題が起きても変わりません。自分たちで安全性を確認する必要があると考え、以降販売する食品に関しては、独自に放射能検査を行うことに決めました。

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山本さん:
とはいえ、放射性物質検査機器の手配を開始したところ、1台手に入れるのがやっとという状況でした。当時は様々なところで需要があったのか、国内ではほとんど流通することはなくなりました。

とはいえ、1台だけではどうしても検査システムが脆弱になってしまう。そこで、諦めるという選択肢はありませんでした。国内でダメなら海外で手に入れようとなって、海外の業者を当たってみたところ、アメリカで1台押さえることができました。そして、海外から送られてくるのを悠長に待っている時間はないということで、僕が現地に受け取りに行くことになったのです。

──  当時、山本さんは新卒一年目だったんですよね?

山本さん:
そうですね、こんな重要な任務が僕に与えられるとは思ってませんでした。宏平さんから「買えるまで帰ってくるなよ!」と冗談で声をかけられたことを覚えています(笑)。

無事にアメリカから検査機器を持って帰ることができ、厚生労働省が定めた「緊急時における食品の放射能マニュアル」をベースに検査体制を整え。3月18日から全品検査を開始しました。

また、この独自の検査システムは一般にオープンをすることに決め、他の有機野菜の宅配会社やスーパーマーケットなど多くの流通業者の方が実際に話を聞きにいらっしゃいました。現在では安全性の面から流通業者自ら放射能検査を行う流れが定着しつつありますが、その流れを生み出すことに貢献できたのではないかと思います。

前例はない、だからやる

──  オイシックス・ラ・大地では、「早いもの勝ち、速いもの価値」という行動指針を掲げてますが、震災時も新型ウイルスへの対応においても、スピードを持って対応することを大切にしてますね。

山本さん:
そうですね。僕がアメリカに検査機器を取りに行った時なんて、向こうについて機器を受け取ったら直ぐに戻るという、まさにスピード対応でした。

これは非常時だけでなく、オイシックス・ラ・大地で働いていると常に必要だと思います。社会の変化も早いですし、お客様ごとのライフスタイルも変わっていきます。そういった時代に価値を届けていくには、どんどん先手で動いていく必要がある。だからこその「速いもの価値」だと思います。

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山本さん:
また、大切になるのは、変化を恐れないことですよね。Oisixが放射線検査を独自に行うと決めた時、企業自らが検査を行なっている会社なんて、聞いたことがありませんでした。基本的には公的機関に検査を依頼するのが当たり前だったんです。

でも、公的機関の検査は正確性は高いけれど、結果が出るまでに時間を要するので、生鮮食品の場合、流通前に結果を出すことが難しい。それであれば、自分たちでスピーディーに全品目を検査して、必要に応じて公的機関と連携して、より正確な数値を確認するという補完的な関係が大切だと思い、実行しました。

行動指針のひとつに「前例はない、だからやる」がありますが、まさにこれを体現し続けていくことが何よりも重要です。現在も、新型ウイルスの感染拡大により、先行きが見えない不安はありますが、自分たちができることを、ひたむきに実行にしていこうと思います。

執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部

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