オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

「体感を通じて、ミッションへの当事者意識を高める」──オイシックス・ラ・大地の新卒研修に込めた想い

「体感を通じて、ミッションへの当事者意識を高める」──オイシックス・ラ・大地の新卒研修に込めた想い

入社式直後から始まる新卒研修は、単にビジネススキルを身につける場ではなく、企業文化を理解し、同僚との絆を深め、チームの一員として成長しあう基盤を築く重要な期間です。2023年度春、オイシックス・ラ・大地では過去最大となる29名の新卒採用メンバーを迎え入れ、約1ヶ月半の新卒研修を行いました。

ミッションを深く理解するための体感研修。行動規範『ORDism(オーディズム)』を自分ごと化するためのワークショップ。ロジカルシンキングを取得するための問題解決講座。自己認識を高め、自分を成長させる方法を学ぶキャリア研修。この他にも様々なプログラムを実施しました。

今年のオイシックス・ラ・大地の新卒研修には、どのような狙いがあったのか。研修を実施するうえで、こだわったポイントとは何か。新卒研修を企画・実施したHR本部の上田拓弥さんと今井香織さんに話を聞いてみました。

多岐にわたる要素から構成される新卒研修

── 約1ヶ月半に渡る濃厚な新卒研修でしたが、どのような内容を実施したかを改めて教えてもらえますか?

上田さん:
新卒研修の狙いとしては、各配属先でチームの一員として活躍していくための基礎を身につけること。また、将来的に新卒メンバーには事業をリードする存在になってもらいたいと考えているので、中長期的に活躍していくために必要となるスタンスや考え方を学ぶこと。これらを念頭に、主に5つの要素からなる研修を行いました。

上田さん:
ひとつ目は、オイシックス・ラ・大地の企業理念である「これからの畑、これからの食卓」を身を以て学ぶ体感研修です。オイシックス・ラ・大地では、自らの仕事の意義を深く理解すべく、契約している生産者さんや、サービスを利用されるお客さまの声を聞く場を会社として定期的に設けています。それを新卒研修向けにカスタマイズしたものですね。

ふたつ目は、オイシックス・ラ・大地の行動規範『ORDism(オーディズム)』を深く理解するための研修です。様々な部門の先輩社員に話を聞きながら、ORDismを実務において体現するとはどういうことかを、具体事例を通じて理解するワークなどを実施しました。

上田拓弥さん。
HR本部 人材スカウト室 人材スカウトセクションⅡ マネージャー。2014年に新卒でニトリに入社後、人材紹介企業で営業、IT企業で人事を経て、2022年3月にオイシックス・ラ・大地に入社。新卒と第二新卒の採用を牽引し、2023年6月より現職。

上田さん:
三つ目は、事業理解を深める研修です。オイシックス・ラ・大地では食にまつわる様々な事業を展開していますが、それぞれの事業部の先輩社員からビジネスモデルや事業戦略について講義してもらいました。

また、EC事業において欠かせないカスタマーサポート部門や物流拠点の仕事について理解する研修も実施しました。現場感を持ってもらうために、海老名や習志野にある物流拠点を訪問したり、お客さまに商品を届ける配送に同行する時間も設けました。

今井さん:
四つ目として、ビジネスマナーやITスキルなど、チームの一員として働くための基礎知識を学ぶ研修も実施しています。なかでも特に力を入れているのが、ロジカルシンキングを磨くための問題解決講座です。

オイシックス・ラ・大地に入社すると、全10回となる問題解決講座の受講が、もれなく全員に求められます。問題の洗い出しから、重要問題の特定、打ち手の決定までのプロセスを学び、最後には実際の業務での使用を想定したテストも行います。難易度は高いため、初回のテストで合格する人は半分程度です。

今井香織さん。
HR本部成長推進室所属。2011年に新卒でらでぃっしゅぼーや(当時)に入社。カスタマーサポートや物流ステーションでの業務を通して、お客さまや現場への理解を深める。2年半の育休・産休を経て、HRで復職。社員へのORDism(行動規範)浸透や成長支援に取り組む。

今井さん:
通常の問題解決講座は数ヶ月かけて実施しますが、新卒メンバーにはいち早くロジカルシンキングを身につけてもらうべく、2週間に詰め込んで実施しました。かなりハードだったと思いますが、最終テストの合格率は通常より高く、新卒メンバーの熱量の高さを改めて感じました。

最後の五つ目として、キャリアの築き方や自分の強みの伸ばし方について学ぶキャリア研修も実施しました。強みとなる資質を発見する診断ツール『ストレングスファインダー』を用いて自分の特性を理解するワークや、自身の強みを理解した上で、1年後にどのような自分でありたいかを考えて宣言するワークなどを行いました。

入社式をあえて畑で開催する理由

── 新卒研修を実施する上で、特に意識していたことは何でしょうか?

上田さん:
ORDismのひとつに「当事者意識、当事者行動」があります。一人ひとりがミッション達成に強い当事者意識を持ち行動することが、ミッションの達成には欠かせないという意味です。この言葉が示すように、企業理念である「これからの畑、これからの食卓」への当事者意識を、自らの体感を通じて高めてもらうことをかなり意識していました。

それが最も象徴的に表れたのが、畑で行った入社式ではないかと思います。新卒メンバーには、オフィスでの業務開始よりも先に、産地の苦労や工夫、そして生産者さんの想いを肌で感じてほしい。社会人としての一歩を踏み出す入社式というメモリアルなタイミングで、食の現場を体感してほしい。そうした想いから、企画されたものです。

入社式では、本来一人ひとりに手渡しされる入社証書を、オイシックス・ラ・大地らしく収穫という形で授与しました。自身の名前が書かれた立札の前の土を掘ると、入社証書が収穫できるというものです。

(▲)入社証書を収穫する新卒メンバーたち

上田さん:
入社式の後は生産者さんと交流ランチをさせていただき、午後は生産者さんからトマトの栽培についての説明を受け、トマトのビニールハウスで農作業を行いました。

最後には「心の苗」という企画を実施しました。この一日の体験で感じたことをもとに、社会人としての抱負を立て札に書き、自分たちが植えたトマトの苗の前にそれぞれ立てました。生産者さんから定期的に苗の成長の様子を聞かせてもらうことで、心の苗を植えた時の気持ちを新卒メンバーが思い返してもらえたらと考えています。

(▲)新卒メンバーが植えた「心の苗」

上田さん:
また、この入社式の企画は、生産者さんの協力なしには成り立たないものです。会場となる畑を貸してくださり、農作業の機会を与えてくれた、株式会社野菜くらぶの方々には感謝の想いでいっぱいです。入社式では、新卒メンバーへのメッセージもいただきました。

様々な人の力を借りながら、「社会人として、これから頑張っていくぞ」という気持ちを高めるとともに、「これからの畑、これからの食卓」という企業理念への当事者意識を高めることができた1日になったのではないでしょうか。

リアルな声に触れることで、理解を深める

── 体感を通じて企業理念への理解を深める研修プログラムとして、他に象徴的なものはありますか?

今井さん:
入社式は「これからの畑」を体感する企画でしたが、「これからの食卓」を体感する場として、食卓体感研修を実施できたことも大きかったと思います。

オイシックス・ラ・大地では、全社員を対象とした食卓体感研修を定期的に行っていて、オンラインでリアルタイムにお客さまインタビューを実施し、その場で直接お客さまに質問できる機会をつくっています。

今回の新卒研修では、過去の食卓体感研修で使用したお客さまインタビューの動画を編集し、『Oisix』『らでぃっしゅぼーや』『大地を守る会』の3ブランドそれぞれのお客さまの声を聞いてもらいました。

3ブランドの特性を理解をするために、各事業部のメンバーから説明をしてもらいましたが、お客さま側からの視点も知ってもらうことで、事業理解がより深まったのではないかと思います。同時に、お客さまの声を大切にしてる会社であることも改めて認識してもらえたのではないでしょうか。

── 行動規範『ORDism』を理解し体現するための研修でも、ワークを重視するなど、体感を大切にしているように感じました。

今井さん:
そうですね。私たちが研修で目指したのは、ORDismを単に知ってもらうことではありませんでした。ORDismを体現することこそがミッション達成への近道であることを認識し、具体的にどのような形で業務に反映されるべきかを理解し、それを自身の行動に落とし込めるようになってもらいたいと考えました。

そうした背景から、活躍している先輩社員を囲んで、「何を意識して日々の業務をしているのか」「ORDismを体現するとはどういうことなのか」をインタビューするワークを行いました。研修後の日報では、「先輩から聞いたタスク管理の方法を今日からやってみます」という声があったりと、実際の行動に繋げることができたのではないかと思います。

また、ORDismのひとつ「お客さまを裏切れ」を体現し続けるために、社長の宏平さん(髙島宏平)たちが創業時に行っていたことを体験するワークを実施しました。自身の感動体験から感動に必要な要素を洗い出し、自社サービスに組み込むとどうなるかを考えていきます。アイデア発想のアプローチとして、習慣的に実施していってもらいたいですね。

(▲)新卒研修中のお昼休憩時の一枚

自分の強みを理解した上で、頑張り方を考える

── 新卒研修では、キャリアについて学ぶ研修にも力を入れていましたが、どんな狙いがあったのでしょうか?

上田さん:
新卒入社してくれたメンバーは全員が目をキラキラと輝かせて、「頑張りたい!」「成長したい!」という意欲を高く持ってくれています。ただ、どういう風に頑張ると、自分の成長に繋がるのかは、それぞれの特性によって違うはずです。自分の頑張り方について考える時間があったほうがいいと考え企画したのが、一連のキャリア研修です。

新卒に限らず、オイシックス・ラ・大地の人材育成においては、個々人の特性にフォーカスし、強みとされる特性を伸ばすことを大切にしたいと考えています。そのため、自分の強みを意識しながら、社会人としてのキャリアを長期的に俯瞰した上で、自分のキャリアに向かい合ってもらいたいと、研修のはじめに伝えました。

幸いにも、オイシックス・ラ・大地には「キャリア支援室」というセクションがあり、キャリアコンサルタントの資格を持つメンバーが複数人在籍しています。なかには、ストレングスファインダーを使ったコーチングの認定資格をもつメンバーもいて、キャリア支援室の協力のおかげで、充実したプログラムを組むことができたと思います。

今井さん:
キャリアに関するセミナーでは、オイシックス・ラ・大地に限らず、どんな会社や組織からも雇用され続けるための能力を意味する「エンプロイアビリティ(employability)」を高めることが、中長期的に自分のキャリアを形成していく上で重要という話も伝えました。

その上で、社会人1年目から3年目においては、問題発見から仮説を立て検証する思考スキル、様々なメンバーと仕事を円滑に進められるコミュニケーションスキルなど、「ポータブルスキル」と呼ばれる力を高めることが重要であり、そこを鍛える期間にしてほしいと伝えました。

とはいえ、ポータブルスキルにも様々な種類があります。自分の強みとなる特性をもとに、どのスキルを重点的に鍛えたいのか。また、それを鍛えるために、日々の業務で何を意識して行動していくか。そうした問いを各自で考え、研修の最後に目標宣言としてそれぞれ発表してもらいました。

ただ目の前の仕事を盲目的に頑張るのではなく、自分がどう成長したいかを考えて、日々の業務の中で行動に移していく。成長は目的ではなく手段であり、この自覚が各自の飛躍的な成長を生む源泉となると考えています。新卒メンバーが自分たちの成長とキャリアを自己主導できるように、新卒研修期間後も様々なフォローアップを実施していく予定です。

(▲)新卒研修後の懇親会での集合写真

既存の枠組みに収まることなく、挑戦してほしい

── 新卒研修が終わって1ヶ月ほど経ちますが、企画・実行した立場として感想を聞かせていただけますか?

今井さん:
私も、らでぃっしゅぼーや(当時)に新卒入社し、新卒研修を受けた身です。当時のことを思い出しながら、今年の新卒メンバーの話を聞いていましたが、それぞれが自分の言葉で目標やなりたい姿を語ってくれていて、「私が新卒の時は、こんなにちゃんとしてなかったな」と思わず反省してしまいました(笑)。

それぞれの言葉や表情から感じられる強い意欲と情熱に触れ、彼らの未来にワクワクしながら、自分自身も新たなスタートラインに立ったような感覚になりました。これからも彼ら彼女らをサポートし、一緒に成長していくために、自分自身もより一層頑張っていきたいと感じました。

上田さん:
僕も新卒メンバーから大いに刺激をもらいました。研修に向き合う熱量が高いので、「こちらもその熱量に負けないくらいのものを提供しないといけない」と思いながら向き合っていたので、非常に刺激的な約1ヶ月半だったと思います。

また、研修の打ち上げでは、新卒メンバーがサプライズ企画を用意してくれました。Oisixの配送員に扮した格好で登場し、新卒研修に関わった社員に向けてプレゼントを持ってきてくれました。それぞれのプレゼントはORDismに紐づいていて、どういう意図で選んだかが付箋に書いてあり、プレゼントの渡し方も凝っていました。

新卒研修を通じて、ORDismを体現できる人になってもらいたいと考えていましたが、実際に体現してくれている姿を最後に見せてくれて、本当に感動しましたね。これからの活躍がより楽しみになりました。

── 最後に、新卒メンバーにどんな活躍を期待するかを聞かせてください。

上田さん:
既存の組織の枠組みに収まることなく、積極的にチャレンジしてほしいと願っています。僕自身、入社してまだ1年ちょっとですが、そういう環境の中で自由に前向きに仕事に取り組めていることを強く感じています。彼らは自分以上にエネルギッシュだと思うので、どんな困難にも立ち向かっていってほしいと心から期待しています。

今井さん:
オイシックス・ラ・大地の「食の社会課題をビジネスの手法で解決する」という企業姿勢に深く共感して入社を決めてくれているので、新卒メンバーのみんなには課題解決の最前線で活躍してくれることを期待しています。それは会社の未来だけでなく、食の未来をも左右するはずです。新鮮な風を巻き起こしていってほしいと願っています。

執筆:井手桂司・編集:ORDig編集部

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