オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

事業成長が続く、保育施設向け給食サービス『すくすくOisix』。サービスづくりにおいて、大切にしている想いとは?

事業成長が続く、保育施設向け給食サービス『すくすくOisix』。サービスづくりにおいて、大切にしている想いとは?

「これからの食卓、これからの畑」を理念に、食にまつわる様々な課題の解決を目指すオイシックス・ラ・大地。今回は、保育施設向け給食サービス『すくすくOisix』を運営する、施設食材流通事業部の市川龍聖さんと髙﨑卓郎さんを紹介します。

保育施設の給食は、子どもたちの健全な発育・発達、健康を支えるとともに、食の楽しさを子どもたちに伝える役割も担っています。一方で、昨今の栄養士や調理師の人手不足や離職率の高さにより、保育現場の給食業務に関連する負荷が高くなってきています。

こうした背景を受け、オイシックス・ラ・大地では、安心・安全な食材の調達や商品の配送に加え、献立の作成や食育コンテンツの提供など、業務負荷を軽減しながら、子どもたちの食を豊かにする『すくすくOisix』を展開。2024年7月末時点で、900を超える保育施設に導入いただいています。

『すくすくOisix』の立ち上げの頃から事業に携わり、現在は部長と副部長という立場で事業展開を推進している市川さんと髙﨑さんに、サービスづくりにおいて大切にしていることや今後の展望について話を聞いてみました。

(▼)こちらのインタビューは動画でご覧いただくこともできます。

オイシックス・ラ・大地に入社した理由

──  はじめに、それぞれ自己紹介をお願いします。

市川さん:
施設食材流通事業部の部長をつとめている市川です。事業部の戦略の方針策定や、戦略に基づいたアクションプランの実行を進めていくことを主に担当しています。加えて、サービスをご利用いただくお客さまを増やす営業側の責任者も担っています。

オイシックス・ラ・大地に入社を決めた理由(当時はらでぃっしゅぼーや株式会社)は、ソーシャルビジネスを軸にした企業理念に強く共感したことがきっかけです。

大学では経営学を専攻し、ゼミで「CSR(企業の社会的責任)」について学ぶ機会がありました。企業が社会的責任を果たさなければ、事業の持続的な成長は難しいという考え方に共感し、社会貢献とビジネスが密接に繋がっている会社で働きたいと思うようになりました。

CSRを単にPRの一環として掲げるのではなく、事業活動そのものにCSRが組み込まれている企業を探す中で、らでぃっしゅぼーやに出会いました。

採用セミナーで、当時の社長が「らでぃっしゅぼーやの成長が日本の環境を守る」と熱く語っていたのが非常に印象的でした。また、多くの社員が高い熱量を持って働いていることを感じ、ここでならやりがいを持って働けると確信し、入社を決めました。

髙﨑さん:
施設食材流通事業部の副部長をつとめている髙﨑です。マーケティングと事業のDX推進の責任者をつとめています。

私も市川さんと同様に、オイシックス・ラ・大地(当時は、らでぃっしゅぼーや株式会社)に新卒で入社しました。

大学時代、サークル活動で農業に関わる経験をした際、”作る人”と”食べる人”の間に大きな情報の差があることに気づきました。例えば、食べる人が「良いもの」と思っているものが、作る人からするとそうではなかったり、逆に作る人が「良いもの」と考えていても、その価値が消費者に伝わっていないことがある。

こうした情報のギャップの存在に課題を感じ、食品業界で川上から川下まで幅広く関わり、食に関する正しい情報を発信できる企業で働きたいと強く思うようになりました。

ただ、色々な企業を見ていく中で、「安心・安全」という言葉の定義が曖昧なことが多く、その点に不安を感じていました。そんな中、らでぃっしゅぼーやの採用担当者にその定義について質問をしたところ、とても明確な答えをもらいました。同時に、その担当者の方は情熱的な方で、その熱意に強く感化され、らでぃっしゅぼーやへの入社を決意しました。

『すくすくOisix』を立ち上げた背景

──  改めて、『すくすくOisix』の概要を紹介してもらえますか?

髙﨑さん:
すくすくOisixは、保育施設向けに給食用の食材を提供するサービスです。

Oisixの独自基準を満たした安心・安全な食材をお届けすることに加えて、保育施設における給食現場の課題を解決するために様々なサービスを開発しています。例えば、献立作成、食育ツールの提供、業務効率化を目的とした注文用のシステム開発などを行っています。

──  すくすくOisixの事業を立ち上げた背景とは、何だったのでしょうか?

市川さん:
オイシックス・ラ・大地は「食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する」ことを理念に掲げ、利益追求だけを目的とした事業は展開していません。そして、食の社会課題を考えると、BtoBの領域にも多くの解決すべき課題が存在します。

私たちの事業対象である保育施設では、毎日、昼食やおやつなど、子どもたちが食べる食事を提供しています。

私自身も子育てをしているため、子どもたちが社会で初めて食べる食事が、保育施設での食事になりつつあることを実感しています。保護者の方々は子どもたちの食事に非常に気を遣っており、同様に保育施設での食事にも安心・安全なものを求めています。

しかし、保育施設の給食現場に目を向けると、栄養士や調理師の採用が難しく、さらに採用できたとしても人材が定着しないという二つの大きな課題が浮かび上がってきます。なぜ人材が定着しないのかを調査するため、実際に給食現場を訪れる中で、ある事実が明らかになりました。

それは、栄養士の方々が毎日の調理業務に追われ、栄養バランスを考えたメニュー作りなど、本来の業務に時間を割くことができていないことです。この結果、栄養士としてのキャリアパスが見えにくくなり、離職率の高さに繋がっていました。

この状況を改善しなければ、保育施設に通う子どもたちに「良い食」を提供し続けることが難しくなります。ここにこそ食に関する社会課題があると感じ、私たちは保育施設向けの給食サービス事業に取り組んでいます。

──  栄養士や調理師の方々の業務負荷をいかに減らせるかがポイントなんですね。

市川さん:
そうですね。さらに、保育現場における課題として、少子化の影響で定員割れを起こし始めている保育施設が増加しています。この数年で、各施設が「どのようにして保護者から選ばれる施設になるか?」という点に注力するようになってきました。

そのなかで、保育施設では一日に何度も食事を提供するため、給食の質が保護者から選ばれる理由になってきています。特に、注目されているのは「食育」です。保育施設の食事を通じて、子どもたちに食へ興味を持ってもらいたいと願う保護者の方々が数多くいることがわかってきました。

こうした背景から、すくすくOisixでは、自分たちが食べている食事に興味を持ってもらえるような食育のツールやプログラムの提供も行っています。こうした取り組みが、私たちのサービスを選んでいただける理由のひとつとなっています。

いかに給食現場の業務負荷を軽減するか?

──  ここからは、すくすくOisixの特徴についてお伺いします。給食現場の業務負荷を軽減するために、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

市川さん:
ひとつは、Kit Oisixのノウハウを活かして開発した、給食用のミールキットの提供です。

調理業務において最も時間がかかるのが、野菜などの食材を包丁で切ったりする下処理の工程です。私も調理現場に足を運んで驚いたのですが、栄養士さんが2時間もりんごの皮剥きをされていました。

注力すべき業務と省略すべき業務を整理して、栄養士としての能力を活かせるような業務に時間をあてていただく。それを実現するために、各食材が下処理済みの状態で届くミールキットを提供しています。

市川さん:
また、保育施設の調理現場を見ていくと、毎週の食材の発注にも、かなりの時間が取られていることがわかってきました。

保育施設における給食は、調乳・離乳食・3歳未満児食(1~2歳児食)・3歳以上児食(3〜5歳児食)に分類され、それぞれの対象児に適した調理を行うことが必要です。そのため、食材を発注する際にも、細かい計算が大量に必要となり、業務負荷に繋がっていました。

こうした状態を解決すべく、すくすくOisixでは、食材の発注が約10分程度で完了する独自の発注システムを用意しています。

市川さん:
さらに、すくすくOisixでは、専属の管理栄養士が手がけるオリジナルの献立も提供しています。

給食の提供にあたって献立づくりは必須ですが、人手不足の問題で、保育施設に献立を作れる人材が常にいるわけではありません。また、献立づくりは正解がない領域でもあり、精神的負荷がかかる仕事でもあります。

給食の提供にあたって、献立づくりは欠かせない要素ですが、慢性的な人手不足の中で、献立を作成できる人が常に保育施設にいるわけではありません。また、献立づくりは一概に正解が存在しない領域であり、その分、精神的な負担も大きい業務です。

そうした背景から、離乳食の初期・中期・後期から幼児食に加えて、アレルギーに対応した献立を毎月作成し、無償で提供しています。また、季節に応じた行事食やお楽しみ献立なども用意しています。このように、給食現場の業務負荷を軽減しながら、子どもたちの食を豊かにする手伝いをさせてもらっています。

産地とのつながりが、食育における強みに

──  すくすくOisixでは、充実した食育プログラムが特徴のひとつという話もありましたが、食育の具体的な内容について教えてください。

髙﨑さん:
オイシックス・ラ・大地の強みは、『Oisix』『らでぃっしゅぼーや』『大地を守る会』を運営するなかで築き上げた、生産者さんとのつながりです。お客さまの食卓に安心・安全をお届けするため、全ての生産者さんと直接契約を結び、顔の見える関係を築いています。

熱意を持って食と向き合う生産者さんとのつながりを活かしながら、子どもたちが「食べる」をもっと好きになる食育をコンセプトに、すくすくOisixでは、毎月の献立と連動した様々な食育プログラムを提供しています。

例えば、産地の農家さんが食育の一環として、葉っぱつきの人参や、畑の姿が想像できるような食材を保育施設用に収穫して送ってくださいます。また、農家さんが野菜について教えてくれる紙芝居も提供しています。

髙﨑さん:
こうした体験がベースにあったうえで、保育施設で収穫体験を企画したりすると、子どもたちの体験がより良いものになると思うんですね。このように、食に興味をもってもらうための原体験をつくることを意識しながら、食育の企画を考えています。

こうした取り組みは、保育施設の方々や、子どもたちを通わせている保護者の方々から感謝の声をいただくことが多く、非常にやりがいを感じます。

私たち自身も保育施設を訪問し、提供している食育ツールが実際にどのように使われているかを見学させていただくことがあります。その際に、子どもたちが楽しそうに食育を受けている姿を見ると、感極まって泣きそうになることもあります。

農家さんの名前を覚えてくれて、食事の際にその名前を口にする子どもたちもいるそうです。また、農家さんに手紙を書いてくれる保育施設もあり、それを受け取った農家さんもとても喜んでくださいます。

自分たちが企画したものが、子どもたちに良い影響を与えていることを実感できる瞬間があり、そのたびに大きなやりがいを感じます。

病院や介護施設などの課題にも取り組んでいく

──  すくすくOisixをご利用いただく保育施設は年々増加していますが、最後に、施設食材流通事業部の今後の目標を教えてください。

髙﨑さん:
現在、すくすくOisixをご利用いただいている施設は約900施設ですが(2024年7月末時点)、日本全国には約5〜6万件の保育施設が存在すると言われています。保育業界全体から見れば、すくすくOisixのシェアはまだごく一部に過ぎない状況です。

この現状を踏まえ、施設食材流通事業部では中期目標として、業界全体の10%程度のシェア獲得を掲げています。

現在、保育施設向けの給食サービスで圧倒的なシェアを持つ企業は存在しません。そのため、すくすくOisixの認知度をさらに高め、選択肢のひとつとして選んでいただける状態を目指すことが重要です。

少子化などの影響で、保育業界全体が変化している今、給食に対するニーズや給食のあり方自体も大きく変わりつつあります。こうした変化に対応しながら、給食分野において新たなスタンダードを築いていきたいと考えています。

市川さん:
施設食材流通事業部の展望として、現在は主に保育施設の問題解決に取り組んでいますが、今後は病院や介護施設、老人ホームなどへの対応にも力を入れていく予定です。

その背景には、保育施設と同様、あるいはそれ以上に、こうした施設でも人材不足が深刻化していることがあります。最近では、人手不足により給食委託会社が突然撤退し、給食の提供が止まってしまうというニュースもよく耳にします。

すくすくOisixでは、ミールキットの活用を通じて、給食現場の業務負荷軽減に成功しています。さらに、学校給食や社員食堂など幅広い分野でフードサービスを提供しているシダックス社が、新たにオイシックス・ラ・大地のグループに加わりました。

繰り返しになりますが、オイシックス・ラ・大地は「ビジネスの手法で食の社会課題を解決する」という理念を掲げています。これまでに培ってきたノウハウと、グループ内のリソースを最大限に活用し、保育施設に限らず、様々な施設が抱える食の問題に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

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