オイシックス・ラ・大地の「挑戦」を深ぼる

創業25年の社史をアートで表現。その裏にある、「一人ひとりが“歴史をつくる当事者”」という代表・高島宏平の想い

創業25年の社史をアートで表現。その裏にある、「一人ひとりが“歴史をつくる当事者”」という代表・高島宏平の想い

オイシックス・ラ・大地は創業から25年の節目を迎え、社史をアートで表現するという、これまでにない取り組みに挑みました。連結従業員数は4万人を超え、さまざまなメンバーが集う今、改めて「自分たちはどんな想いで歩んできたのか?」を共有することが必要だと考えたことが、この企画の出発点です。

制作を担ってくださったのは、現代アーティストの中﨑透さんです。中﨑さんは、創業者である代表の高島宏平をはじめ、社員、生産者、お客さまなど、多様な視点から“25年の物語”を聞き取り、そのエピソードの断片をインスタレーション形式で立ち上げました。

本社を置くゲートシティ大崎内の各スペースには、歴史を象徴するモノや言葉が点在し、作品空間を歩くことで、訪れた人自身が25年の時間を追体験できる構成となりました。

一般的には、紙の社史が主流の中、なぜあえてアートというアプローチを選んだのか。それを紐解くべく、代表・高島と中﨑さんによるトークイベントを開催。そこで語られたのは、「一人ひとりが“歴史をつくる当事者”である」という想いでした。

“読み物”ではなく、“感じる社史”をつくりたい

創業25年の社史をアートという形で表現することになったのはなぜか。そして、中﨑さんに依頼したいと思った理由とは?イベントの冒頭では、高島からその経緯が語られました。

高島:
社史をつくるとなったときに、「紙の本をつくる」という選択肢は、最初からほとんど頭になかったです。会社の行動規範にも「前例はない。だからやる」と掲げてますし、普通のやり方をしても、なんか自分たちらしくないなと思って。

せっかく25年の節目に何かを残すなら、もっと違うアプローチができないか。そのときにふと思い浮かんだのが、中﨑さんでした。

中﨑さんとの出会いは、とある芸術祭で作品を拝見したのが最初です。公民館のような建物の中に展示があったんですが、最初は作品だと気づかないくらい、空間に自然に馴染んでいて。危うくそのまま通り過ぎるところでした(笑)。なんというか、風景に擬態している作品という感じでしたね。

僕は天邪鬼な性格で、美術館でも順路どおりに見るのが苦手なんですけど、中﨑さんの作品は順路自体がわからなくなるような構造で。自由に見ているつもりなのに、気づくとどんどん展示の世界に引き込まれていくんですよ。

高島:
そうした中で、中﨑さんに社史をお願いしたいと思ったのは「歴史を輪郭から描く」という発想からでした。歴史って、どうしても坂本龍馬とか徳川慶喜といった、一人の主人公にスポットライトが当たりがちですよね。

でも、中﨑さんはそうではなくて、名前が残らないような人たちの日常や、何も特別な出来事が起きなかった風景を題材にしながら、そこから物語を立ち上げていく。主人公不在のまま、風景や営みの積み重ねが歴史になっていく。そのスタイルにすごく惹かれました。

で、オイシックス・ラ・大地の25年間もまさに同じで、上場やM&Aのような年表に載るような出来事は、歴史のほんの一部なんですよ。95%は「今週もメルマガを送った」「配送の改善に取り組んだ」みたいな、地道な営みの積み重ねなんです。

だったら、派手な出来事を並べるより、日々の輪郭から歴史を感じてもらうほうが、僕ららしい社史になる。だからこそ今回は、紙とかの“読み物”ではなく、空間で感じてもらう“体験”として社史をつくってみたいと考えました。

ループし続ける、終わらない文化祭

今回の作品には「《25歳の地図》 〜美しい夢、果てしない坂〜 THE MAP OF 25 -Beautiful Dreams, Endless Slopes-」というタイトルがつけられています。イベントでは、作品に込めた想いについて、中﨑さんから話を聞かせていただきました。

中﨑さん:
正直、今回の制作は、僕にとっても過去最大級の挑戦でした。制作にあたり、様々な方にインタビューをさせていただきましたが、どのエピソードも内容が濃すぎて、まとめたテキストも気づけば12,000字を超えていて…。いつも作品をつくる際の1.5倍くらいの文字量になってしまったんです。

その中でも特に心に残ったのが、高島さんが話されていた 「坂のエピソード」と「終わらない文化祭」の話でした。

(▲)中﨑透さん。看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。近年の主な展覧会に、2022年個展「FICTION TRAVELAR」水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」(新潟)など。令和4年度(第73回)芸術選奨新人賞(美術部門)受賞。

中﨑さん:
高島さんは、起業の原体験として高校時代の文化祭の実行委員長の話をしていました。1万人の来場者という目標を掲げ、仲間と力を合わせて挑戦し、それを実現した。そして、その達成感をまた味わいたくて起業に挑んだと。

でも、会社経営をしていると、ひとつの目標を達成しても、また次に登るべき山が見えてきて、達成感がなかなか得られない。昔は「山の頂上から見える景色」に憧れていたのに、実際には頂上も景色もなく、ただ坂が続いているだけだったと。

ただ、高島さんは「でも、その “続いていく”こと自体が幸福なんだと気づけた」と話していて、その言葉がとても印象的でした。文化祭には終わりがあるけれど、会社経営には終わりがない。その感覚が今回の作品の核となり、副題である 『美しい夢、果てしない坂』 という言葉に辿り着きました。

中﨑さん:
また、高島さんの話には、僕自身すごく共感するところがあって。作家業も、ある意味、終わりがない文化祭なんですよね。ひとつ展示が終わっても、また次の作品づくりがはじまって、ずっと繰り返している。でも、そのループがどこか楽しい、みたいな感覚があるんです。

実は以前、僕の作家評として、「この人は文化祭をずっと作り続けている」と評してくれた方がいて、その時に映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の構造を例に説明してくれたんです。文化祭の準備が終わらず、延々と時間がループしていく世界を描いた作品なんですが、「なるほど、僕のスタイルはこう見えるのか」と妙に腑に落ちて。

であれば、展示自体にも終わらない文化祭の要素を込められないかと考えました。最初のエピソードには高島さんの高校時代の文化祭の話を配置して、最後には 「会社経営は文化祭のようには終わらない」という話を置く。そうすることで、訪れた人が 「あれ、最初と最後がつながった?」 と感じるような、ループ構造にしています。

インスタレーション自体も、あえて手作り感のある質感にして、大崎のオフィスを「文化祭の教室」のように見立てました。訪れた人が、どこか文化祭のざわつきのような雰囲気を感じて、「今日も文化祭が続いているのかも」と思ってもらえたら嬉しいですね。

一枚一枚の積み重ねが、未来への道をつくる

今回の取り組みを通じて 、オイシックス・ラ・大地で働くメンバーにどんなメッセージを届けたいのか。イベントの締めくくりとして、高島の想いを聞きました。

高島:
今回の社史アートで、皆に感じてもらいたかったのは、「今この瞬間も、歴史の一部である」ということです。

創業から25年が経ち、これから30年目、50年目と続いていく長い営みの中で、ここにいる全員が会社の歴史を形づくる存在なわけで。自分たち一人ひとりが「歴史を積み重ねる当事者である」ことを、みんなと共有できたらと思っていました。

高島:
たとえば、明治維新のような大きな出来事について語るとき、坂本龍馬や西郷隆盛といった個人が主役として取り上げられがちですよね。でも、彼らが道を歩めた背景には、無数の人たちの貢献の積み重ねがあり、そうした「落ち葉」のような存在が実は未来へ続く道をつくっている。こうした話を歴史学者の先生から聞いて、ハッとしたんですよね。

オイシックス・ラ・大地という会社も、社会全体から見れば一枚の落ち葉かもしれない。そして、そこで働く僕ら一人ひとりも、歴史の大きな流れのなかでは目立たない存在かもしれない。でも、その一枚一枚が積み重なることで、未来へ続く道ができていく。

だからこそ僕は「いい落ち葉でありたい」 と思うんです。僕らが歴史に名を刻むような存在になるかどうかは別として、少なくとも、いい未来をつくる礎でありたい。そうした願いが根底にあります。

この先の未来をつくっていくのは、今ここで働いている僕ら全員です。誰もが歴史の当事者であり、主役である。そのことを感じながら、日々の仕事に向き合ってもらえるようなきっかけに、今回のイベントがなったら嬉しいです。

社史アート展の裏側を、YouTubeで公開中

オイシックス・ラ・大地のYouTubeチャンネル『つながる食卓 byオイシックス・ラ・大地』では、社員へのインタビューや、会社のカルチャーや働き方について紹介するコンテンツをお届けしています。

今回の記事でご紹介した、社史をアートで表現する取り組みの裏側を取材した動画も公開中です。この記事を読んで、取り組みにご興味を持たれた方は、動画もご覧いただけると幸いです。

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